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紙布織山内 | 制作について

 

制作について

PHILOSOPHY

紙布織

Craft and Society

市場経済との距離
和紙から糸を作り、その糸を染め、手織りすることで紙布は完成します。
完成までに必要な時間は、布の色柄によって大きく変わります。また、自然素材を扱うため、製作の過程では予測できない変化や調整が生じることも少なくありません。
手仕事による紙布作りは、大量生産や均一性、効率性を前提とした工業製品とは、異なる時間軸の上に成り立っています。
そのため、経済合理性だけでは測りきれない側面を持ちます。私たちが当たり前のように信じてきた価値基準は、時代とともに変化し続けるものだと感じます。

工芸と工業
日本で「工芸」という言葉が用いられるようになったのは明治初期とされています。
近代化と海外交易の拡大によって、それまで営みのひとつであった手仕事は、輸出産業の一部として再編され、「”手工業”の加工製品=工芸品」という名称を与えられました。そのため当初は、「工芸」と「工業」に明確な区別はなかったのです。
やがて機械工業の発達によって大量生産が進むと、工芸は工業と異なる価値を求められるようになりました。効率や均一性では測ることのできない領域に、工芸の役割が見出されていったとも言えます。

工芸と現代社会
近代以降、大量生産を前提とした社会構造の中で、手仕事はその役割を変化させてきました。
そして現在、社会はAI技術の急速な発展によって、再び大きな転換点を迎えています。効率化や自動化が進む一方で、人が手を使い、時間をかけて素材と向き合う行為には、新たな価値が見出され始めているように感じます。
手仕事は過去の技術として保護の対象にされるだけではなく、人間と素材の関係を問い直す実践の場になる可能性があるのではないでしょうか。

 
石州和紙

Material and Place

工芸と循環
制作に用いる和紙は、地域で育てられた楮を原料とし、紙漉き職人と、その工房に関わる人びとの手を経て生み出されています。
和紙を糸へ加工し、布にする工程も、一貫して手仕事を主体としています。使用する道具の多くも伝統的なものです。
近年では、紙糸の製造から製織までを機械化した製品も流通し、複数のアパレルブランドによって展開されるようになりました。そうした紙布は、低環境負荷や非石油系素材といった、サステナビリティの文脈で語られることが少なくありません。
手作業による紙糸や手織りの紙布は、そこへさらに、人の手による少量生産や地域循環といった要素が加わります。そのようにして生まれる布には、土地の営みや自然観が反映されているように感じます。

時間が生む質感
和紙の原料である楮の生育には個体差があり、それを人の手によって紙にし、糸を作り、布へと織り上げていきます。
長い工程を経て生まれる紙布には、均質ではない小さな揺らぎが現れます。その揺らぎは、経年変化を受け入れ、少しずつ布の表情を変えていきます。身につける布は身体に馴染み、空間装飾においては、光や空気を受け、その環境ならではの存在感を徐々に帯びていきます。

布と連れ添う
紙布織山内では、ご依頼内容を伺いながら、一点ごとに制作しております。
染色に使用する植物や、用途に応じた構成などについても、対話を重ねながら布を形にしていきます。制作過程を共有しながら、一枚の布が生まれていく時間そのものも、大切な価値だと考えます。
紙布は、大量生産のような均一性や即時性を持つものではありません。その一方で、使い続けることで素材は少しずつ変化し、持ち主の時間に寄り添う布になっていくと感じます。
納品後のご相談やメンテナンスにも対応しながら、長くお付き合いいただける布を目指しております。